平成22年3月17日(水) 予算特別委員会
鳥獣害防止対策について質疑応答 (質問時間 20分)
武川
自由民主党輝真会の武川勉です。よろしくお願いいたします。
鳥獣害防止対策についてお伺いいたします。この問題につきましては、これまでに何名かの議員が本会議、委員会などで質問されており、県からの御答弁もそれぞれあったわけでありますが、改めてお伺いいたします。
近年、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザル等の生息分布域の拡大、農山村における過疎化や高齢化の進展による耕作放棄地の増加等に伴い、鳥獣による農林水産業に係る被害は中山間地域等を中心に拡大しております。加えて、鳥獣による被害は、農業や林業に携わる方々の意欲低下などにより耕作放棄地の増加等をもたらし、これが、さらなる被害を招く悪循環を生じさせており、これらは集落の崩壊にもつながりかねないことも懸念されます。そして、このような被害の拡大は、本県の農林業の衰退にもつながる極めて重要な問題であります。平成19年10月には、農政商工観光委員長名で、内閣総理大臣や、衆参両議長などに対策の強化を求める意見書も提出されております。
こうした中、国において、平成20年2月に鳥獣被害防止特措法を施行し、これに基づいた総合対策を講じております。県としても、国の制度を積極的に活用しながら、全力を挙げて防止対策に取り組んでいただきたいとの考えから以下質問いたします。
まず、平成22年度の事業の実施に当たり、これまでの取り組みにおける課題をどのように認識されているのかお伺いいたします。
小林森林環境部長
これまでの取り組みにおける課題ということでございます。
森林環境部ということでございますが、著しく増加、または分布を拡大してきておりますニホンジカ、イノシシ、ニホンザルにつきましては、長期的な観点から、特定鳥獣保護管理計画を策定しまして、個体数管理等を行うことによりまして、被害の防止や生態系の保全に努めているところでございます。
今後、より一層効果的な対策を推進するための課題としましては、ニホンジカ、イノシシ、ニホンザルの管理捕獲を実施しておりますが、こんな中にありまして、狩猟者の高齢化、また減少化が進んでおりまして、鳥獣捕獲従事者の養成、確保が難しい状況になっております。また、国立公園内において、ニホンジカによる被害対策を進めていくためには、国の主体的な対応も必要なことと考えております。また、野生鳥獣の行動域は、複数都県にまたがる場合もありますので、関係する機関と連携が必要なことなどが挙げられると考えております。
武川
国立公園内のニホンジカに対する被害対策は国の主体的な対応が必要との答弁でありますけれども、黙っていては、国も動かないわけであります。積極的に働きかけを行う必要があると思うわけでありますが、それでは、国に対して、これまで、どのような働きかけを行ってきたのか伺います。
小林森林環境部長
国への働きかけということでございますけれども、昨年になりますが、国への提案、要望事項ということで、重点項目という位置づけの中で、国に対しまして、国立公園内におけるニホンジカの生息・食害調査とか、防護さくの設置等につきまして、環境省へ行って、要望を行ったところでございます。重点項目ということでございますので、知事にも行っていただきまして、直接要望してきたこともございます。
武川
ところで、現在、県内のシカの生息数は約5,000から1万2,000頭と言われております。そのうち、富士北麓、南都留地域においては約1,160頭と言われております。その中で、国立公園も含まれている富士北麓地域においては、シカなどの捕獲を計画的に行っているのは富士吉田市外二ヶ村恩賜林組合ぐらいなものであります。恩賜林では、このところ、年間4万本ぐらい植えているようでありますけれども、結果的には半分ぐらいは被害を受けているそうであります。富士吉田恩組は財源がありますから、何とかそれなりに行っておりますけれども、恩賜林以外の地域におきましては、県から2分の1の補助があっても、市町村において財源的なこともありまして、なかなか実効性のある取り組みができていないのが現状であります。県全体に言えることでありますけれども、特に、富士山世界文化遺産登録の実現に向けて進んでいる富士北麓地域においては現在の対応では取り返しのつかないことになってしまうだろうと思っております。
次に、明年度の施策について伺います。
課題についてお伺いいたしましたが、明年度、有効な防止対策を講じるためには、この課題を踏まえた施策の展開が必要であります。県が行う対策については農政部と森林環境部が行っておりますが、鳥獣に県の行政区分は関係ありません。それぞれが独自に実施していたのでは効果的な成果は望めないわけであります。
そこで、明年度、どのような点に意を用いて事業を実施していこうとしているのかお伺いいたします。
横内知事
委員の御指摘のとおり、この鳥獣被害対策というのは農政部と森林環境部が担当しておりまして、それぞれ、例えば、防護さくの設置は農政部の担当でありますし、森林環境部は保護管理、あるいは個体数調整を担当するということであります。両部が特に緊密に、お互いに連絡をとりながら進めていくことが非常に大事だと思いますので、かねてから、私からそのようにやっていくように指示はしてきているところでございます。実際作業するのは市町村がやるわけでありますが、今、市町村の被害防止計画というようなものも、ほぼ、できつつあるわけでありますが、この防止計画の実施に当たっても、また策定に当たっても、各市町村の地域協議会というのがありますけれども、そこに農務事務所、それから林務環境事務所の職員が参画して、一緒に市町村にバックアップする体制をつくっております。
具体的な施策につきましては、森林環境部長から説明させるようにいたします。
小林森林環境部長
農政部も施策等あるわけなんですが、森林環境部といたしましては、やはり、管理捕獲をしていくということで、今年度に引き続き、先ほど御指摘のとおり、市町村への補助金も当然出して捕獲をしていくと。それから、本年度から高標高域、1,000メートル以上というような高いところでも1,000頭を目標に、猟友会に委託して捕獲を進めているということ、そんなことで、幾つか新しい展開をやりながら、森林環境部では捕獲をしたり、林野、森林内については防護さくとか、シカ等が若い芽を食べたりしますので、そこへの忌避剤というか、なめないような、食べないような方策をとるとか、森林環境部としてはそういった方策を講じていきたいと考えております。
武川
鳥獣害防止対策会議、保護管理検討会、相互に参画するということでありますが、この部分については、後ほど質問させていただきます。
次に、国の鳥獣被害防止特別措置法では、対象地域、被害の防止に関する基本的な方針や、今後の取り組み内容を盛り込んだ被害防止計画を策定した市町村に対して、必要な措置が講じられます。したがいまして、被害が生じている市町村には、この被害防止計画の策定がぜひとも必要になります。このため、県内の市町村における被害防止計画の策定状況についてお伺いいたします。
笹本農政部長
被害防止計画の策定状況ということでございます。
平成19年に鳥獣害特別措置法が制定されまして、それより、県では市町村に積極的に働きかけてまいりました。平成21年6月までに、昭和町を除きまして、全27市町村におきまして、既に策定されております。
武川
ほとんどの市町村で作成されているということでありますけれども、作成したことで安心するのではなく、今後、この計画が着実に実施され、被害が軽減されるよう、県が積極的な支援を行うよう要請いたしておきます。
山梨県の被害総額は約1億9,000万円と承知いたしております。県内の各市町村でも、被害は中山間地域が多いと思いますけれども、具体的に被害の多い地域はどこですか。
笹本農政部長
今のお話のように、おおむね1億9,000万円ほど被害がございますけれども、委員がおっしゃいますように、中山間地域が多いということで、峡北地域の八ヶ岳南麓地域、また峡中地域や峡東地域の中山間地域に多く被害が発生しております。
武川
農業の被害についてはわかりましたけれども、それでは、林業被害はどうなっていますか。
小林森林環境部長
具体的に被害の多い地域、林業被害ということだと思いますけれども、林業被害につきましては、県全域に分布している状況にはありますけれども、特に多いのが県の南部地域の山間地域につきましては、やはり多いのかなという状況になってございます。
武川
それと、高山植物などの被害なども心配になるわけでありますけれども、このような被害の多い地域及び被害の内容についてお聞かせください。
小林森林環境部長
高山植物の被害はどうかということでございますけれども、やはり、南アルプスでも、北岳の3,000メートル級のところまでニホンジカが登ってきているというような現象もあるようでございますし、あわせて国立公園ということでございますと、秩父多摩甲斐国立公園につきましても、やはり被害等も出ているということがありますから、そういった対応がやはり必要かということで、南アルプスだけではなくて、秩父多摩甲斐のほうにつきましても国への要望をしたところでございます。
そんな中にありまして、多い林業被害、高山植物の被害はということでございますけれども、主にはニホンジカによる摂食が主なものだと考えております。そういう中で、ニホンジカの保護管理検討会をやるということでございますけれども、やはり、南アルプスには高山植物が多く、希少種がありますので、そういった対策は講じていく必要があるだろうと、あわせて国へも要望もしているところでございます。
武川
被害の防止を効果的に進めるためには、県及び市町村が密接な連携を図った上で、取り組む必要があります。また、鳥獣には市町村の境界はもちろんのこと、県の境界もありません。一例ですけれども、富士吉田市内の山付の住宅地に出没するサルは、猟友会による活動や、さまざまな方法での追い払いなどで、一時的にはいなくなりましても、しばらくの間が過ぎると再びあらわれます。駆除できる数はわずかであり、また、動物には行政区域がありませんので、多くのサルは結果として他の市町村を行ったり来たり移動するにすぎません。したがって、抜本的な対応がどうしても必要になるわけであります。動物愛護の観点からの問題、財源の問題、猟友会の皆様の高齢化、また猟友会の会員数の減少などの課題も多くあることは承知いたしております。しかしながら、知恵を絞って、どんなことをしても適切な対応が求められるわけであります。被害の防止を効果的に進めるためには、県及び市町村が密接な連携を保った上での取り組みが必要ですから、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
このように、県は実施に当たって、市町村との連携はもとより、他県との連携も視野に入れながら、実効性のある総合的な対策を講じる必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
笹本農政部長
委員御指摘のように、市町村事業につきましては、防止計画の策定も、県も指導しておりますし、具体的に、追い払い隊の設置についても指導しているというようなことで、また、補助金のほうも、一生懸命、国に確保をお願いしているところでございます。
また、他県との連携ということでいいますと、現在、本県の南アルプス市から長野県の佐久穂町にかけまして、広いエリアなんですけれども、ここで関係する山梨県、長野県の7市町村がサルやシカの鳥獣害対策を、長野県とも連携しながら行っている状況でございます。また、カワウ対策につきましても、関東広域の10都県で協議会を持ちまして、生息調査でありますとか、共同の追い払い事業なんかを進めているところでございます。
武川
鳥獣害への対応について、さまざまな要因で増加傾向にあるシカやイノシシなどに対し、防護さくの設置はもちろ んでありますが、個体数の調整などの対症療法的な施策では限定的な効果にとどまるのではないかと、このままでは被害が拡大傾向に歯どめがかかりません。
そこで、このような自然、動物を相手にするような施策であることから、県だけではなく、山梨大学、県立大学等の高等教育機関、また、環境科学研究所などとも連携を図りながら、総合的な対策を講じていく必要があると考えますが、県の御所見をお願いいたします。
笹本農政部長
研究者とか、大学との連携の強化という話でございます。
現在、イノシシ、サル、シカなどの保護管理計画の検討会におきまして、信州大学、また東京農工大学の研究者などを委員としてお願いいたしまして、専門的な見地から意見や提言をいただいている状況でございます。また、今後につきましても、現在、野生鳥獣の生態を踏まえて、例えば、サルのモニタリングでありますとか、モンキードッグの活用につきまして、研究者の協力を得て進めているところでございますけれども、さらにまた、大学などの研究者の協力をいただきながら、総合的な対策を進めてまいりたいと考えております。
武川
そこで、農政部で所管されている鳥獣害防止対策会議の目的と構成についてお伺いします。
笹本農政部長
今、委員が御指摘のとおり、農政部で鳥獣害防止対策会議を設けてございます。目的といたしましては、農作物の鳥獣害の防止対策におきます森林環境部と農政部の主な連絡調整ということで、対策をより積極的に進めたいということで、設けてございます。構成員としましては、農政部の各課の課長、森林環境部のみどり自然課、森林整備課というようなところ、それから、出先といたしまして、各農務事務所、試験研究機関の職員等で構成してございます。内容につきましては、地域におきますさまざまな課題がございますので、その辺の情報交換、被害の実態の把握、防止対策の検討でありますとか、各部各課の被害防止対策事業の調整等を進めております。
武川
林業被害や高山植物の被害はどのような組織で対策が行われているのか、お伺いします。
小林森林環境部長
林業被害、高山植物被害は、どういう組織で対応しているのかということでございますけれども、林業被害や高山植物の被害の原因というのは、先ほど申し上げましたように、ニホンジカによる摂食がかなり大きいと考えております。そういったところから、被害対策や個体数管理を検討するために、平成15年度に学識経験者、農林業団体、自然保護団体、関係市町村、関係各課、研究機関等によるニホンジカ保護管理検討会を設置したところでございます。平成16年度には、ニホンジカ保護管理計画を策定いたしまして、個体数調整を目的とした管理捕獲の実施、林業被害を軽減させる防護さくの設置や忌避剤等を実施してきているということでございまして、保護管理検討会で検討しているところでございます。
武川
お話をお聞きしたわけでありますけれども、まさに縦割りですね。連携が十分にとれているとは思いません。私が調べても、奈良県を初め複数の県で、これらの被害対策をすべて含めた県全体の鳥獣被害防止対策の基本方針を策定し、それらの施策を効果的に推進する組織体制が整備されております。
奈良県では、奈良県の農林水産業に対する鳥獣害対策推進方針を平成20年5月に策定しております。この具体的推進方策は、第1番目に被害防止対策の普及啓発、第2番目に総合的な対策の実施であります。総合的な対策として、さらに分類すると、1として人材の育成、2として野生鳥獣の生息環境の整備、3として被害の防除、4として個体数の管理、5として連携体制の充実。そして、第3番目に実態把握、第4番目に特定鳥獣保護管理計画、第5番目に推進体制、第6番目に捕獲鳥獣の地域資源としての有効活用などの具体的推進方法を定めております。
本県においても、一日も早く、こうした取り組みを始めるべきだと思っております。
そこで、お伺いします。鳥獣にとって、食べられるものであれば農作物も樹木も高山植物も、そして行政区域も関係ありません。このように、広範囲かつ長期的な課題に真剣に対応するためには、このための方針を定め、それを効率的に推進する組織体制の整備が重要と考えますが、県の御所見を伺います。
小林森林環境部長
他県の例を、今、お話しいただきながら、御質問いただいたわけでございますけれども、本県におきましては、野生鳥獣による被害を防止するため、保護管理、捕獲については森林環境部、また、防護さくの設置等については農政部などもやっておりまして、それぞれの部が対応してきたという経緯もございます。御指摘のとおりのことでございますけれども、野生鳥獣による農作物被害が減少していない状況にあります。その中で、防護、捕獲、生息環境整備、さらに捕獲した野生鳥獣資源の有効利用等の取り組みに関係機関が連携し、総合的に実施できる体制について、関係部局と検討を進めていきたいと考えております。
武川
冒頭も申し上げましたけれども、いろいろとお伺いした問題につきましては、これまでも多くの議員が関心を寄せ、たびたび質問してまいりました。にもかかわらず、本日も私がいろいろと質問をし、指摘をし、提言させていただいているということは、それだけ重要であるからであります。これまでに、この問題の改善がなされていない、しっかりとした取り組みがなされていないということであります。他の事業でもそうですが、同じような質問を何度もしなくても済むように、ぜひ、お願いしたい。ただ、答弁すればいい、その場をしのげばいいということでは困るのであります。ぜひ、最大限、知恵を絞って、国に対して、また一方におきましては、市町村初め関係機関、団体などに対して、必要なしっかりとした対応、対処をお願いしたいと思います。知事、どうでしょうか。
横内知事
この鳥獣被害防止の問題というのは、大変に頭の痛い問題でございます。私が知事に就任してからも、この問題は重点的な対策として、具体的な数字は持っておりませんけれども、かなり予算的にはふやしてまいりました。しかし、まだ、依然として被害が拡大している状況でございますので、今、委員の御指摘も受けて、いま一歩、実施体制とか、関係機関との連携のあり方とか、施策の内容等について、再度見直して、より強力にこの施策を実施できるような方法を考えていきたいと思います。
まだ、依然として被害が拡大している状況でございますので、今、委員の御指摘も受けて、いま一歩、実施体制とか、関係機関との連携のあり方とか、施策の内容等について、再度見直して、より強力にこの施策を実施できるような方法を考えていきたいと思います。
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